日本書紀〈1〉 (岩波文庫)



日本書紀〈1〉 (岩波文庫)
日本書紀〈1〉 (岩波文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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紀を読むなら、これが最高でしょう

1993年刊の「日本古典文学大系」版の日本書紀を、文庫版にしたもの。
「大系」本だけあって、豪華です。まず編者陣が超豪華。(皆さん古代研究の一人者です)

今巻収録分は、神代(上・下)?崇神天皇まで。
右ページ書き下し文の本文・左ページ注記のスタイルとなっています。(訳文はありません)
本文終了後に更に詳細な「補注」を掲載。その次に白文の原文。底本奥書(あ、底本は卜部兼右本です)・諸本との校異・異体字表もついて本当に超豪華。
私は学生時代、古事記・日本書紀が卒論テーマだったんですが、この本が当時あったらとつくづく思います。(親本は図書館で参照した気がしますが…持ち歩きはキツイので…)

書き下し文オンリーだと、読みづらい気がするかもしれませんが、注が詳細ですのでそうでもないですよ。
記紀の漢文は、本家中国の漢文と違いそんなに複雑じゃないので、慣れたら白文でも意味取れるくらいです。
諸先生方の現代語訳も素晴らしいと思いますが、やはり原文に直接触れた時の感動は別物です。古代史に興味のある方でしたら、ぜひ一度チャレンジを。



なぜ神話は広範に日本をカバーしているのでしょう

 日本書紀にはなぞがいくらかあります。日本の国生み神話が、島を生むこと自体大陸を意識しています。そこでまずスサノオがなぜ出雲に降り立ったのか、ヤマト中心の世界観とは反します。出雲に一大勢力があったことが神話上証明されたことになるのではないでしょうか。神無月には神々が出雲に集まります。
 天孫降臨はなぜ高千穂なんでしょう。天岩戸も高千穂にあるとされています。九州が神話に取り込まれています。九州にも勢力があったのでしょう。神武天皇の日向の国からヤマトへの東征は何を表しているのでしょうか。ヤマトが日本という国、日本という国号自体音読みで、訓読みに直せばヒノモトですが、これ自体、中国、朝鮮を意識した名称なんですが、を統合する過程を表しているのではないでしょうか。古事記ではヤタガラスが天つ神を導いて国つ神に引き合わせるという場面がありますが、なぜからすなんでしょう。そういう日本の国の成り立ちを神話から想像すること自体楽しいのではないでしょうか。
 途中で突然海幸彦と山幸彦の逸話が出てきますが、古事記、日本書紀が日本に伝わる数々の神話を集めたものであることがわかるのではないでしょうか。
 日本書紀は聖書のように、天孫降臨、天岩戸の高千穂とか、スサノオの八岐大蛇の出雲とか、神武東征の日向、ヤマトとか大まかな地域名は出てきますが、もっと細かい具体的な地名は出てきません。かなり曖昧です。その辺が解釈の分かれる元でしょう。 
政治的作業としての歴史叙述

 今でも何故だか不思議に思うが 高校1年生の冬に 一冬かけて日本書紀を読んだことがある。

 古文の勉強のためだったのかもしれないが。

 読んでいて 古代の人々の息遣いが聴こえてきたような印象を持った。話としては 時に荒唐無稽であり 時にはいんちきくさいわけだが そう思えるのは その後の1300年を知っているからだけであって 日本書紀を書いた人たちを批判するのはアンフェアーであると思う。

 日本書紀という歴史書を書くという作業は 当時にしても高度な政治的作業であったと思う。例えば 近年でも大いに論じられてきた教科書問題も 正しく歴史をどう捉えるかという一点に掛かっている。その意味では 日本書紀の作者達と僕らは 今なお 同じ地平線に立っていると言える。

 それにしても700年代にかような書物が出来たことも大したものだし 何より現在まで残ってくれたことが嬉しい。
基本的に古事記より古い日本起源神話の乗る古典

古事記の起源神話は道教の影響が大きく日本書紀(特に第五の一書)は最古形に近い形の日本起源神話が乗る。古事記は朝廷正史ではなくそれが残ったのは日本史上最大の神道家といわれる本居宣長の功績による所が多い。彼の古事記伝の副産物として様々な古典文学に至る解釈が生まれる。様々な口承氏族神話を儒教、仏教、道教の経典文字として伝来した文字をそれらの思想の影響を受けながら成立したものである。中国の属国状態から聖徳太子から初めて中国の皇帝に対抗して対等の天皇号を名乗り中国、朝鮮半島の統一という時代の危機に氏姓制度から律令王朝制度へ移行を成し遂げた中国冊封体制からの独立宣言的書物である。日本の皇祖達のご苦心が忍ばれる。
『古事記』と合わせて読みたい古典です。

 第1巻は、天地開闢から神話時代、日向三代、初代神武天皇を経て、第10代崇神天皇までを収録しています。書き下し文とはいえ、漢文調の文章が難点ですが、苦労してでも読む価値はあると思います。見所も、神話や神武天皇の東征、崇神天皇などが挙げられると思います。

 神話時代は『古事記』との読み比べが魅力的です。『古事記』では一筋の物語として語られますが、『日本書紀』では、どこが本文なのかわからなくなるくらいたくさんの別伝が記載されていて、微妙な差異など、読んでいて面白いです。

 しかし注目すべきは崇神天皇ではないでしょうか。崇神天皇は祭祀王、三輪王朝(イリ王朝)の祖、神武天皇のモデルなど様々な言われ方をされます。果ては騎馬民族の王で、朝鮮半島から日本に渡ってきたと主張されたりします。しかし、実際の『日本書紀』ではどのように記されているのだろう。まだ知らない人はぜひ確かめてみてください。



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